医療事故とプリセプター制度について

この件に関しての続報というか、ワイドショーを見た。事故を起こした看護師は新人1年目で、実は呼吸器に関して手技に確信がもてなかったらしいけれども、一緒についていた先輩が「怖くて」確認がとれず、あやふやなまま人工呼吸器を接続し、接続確認も先輩にお願いできなかったらしい。
これは日本独特な制度なのか、それとも看護業界特有の制度なのかはわからないのだけれども、新人に対して入職2〜3年目ぐらいの先輩看護師がマンツーマンでついて(それこそ3ヶ月ぐらいは勤務も全部一緒になり、夜勤回数が減り給料も減る)注射も点滴も処置も何もかもできない新人に、職務は何であるかの初歩の初歩から教えていき、なんとか働けるスタッフに育てる「プリセプター・プリセプト」制度というものがあります。
この制度は、気が合う人と組めば非常に有効な制度で、実際看護師の大半は、この制度で仕事を覚えて先輩との絆も深まり職場にも溶け込んで、有能なスタッフとなっていっていると思われる。けれどもその反面、性格が合わないプリセプターに当たったら最悪で、気が合わないなーと感じているぐらいならばいいけれども、物品を隠されたり嘘を教えられたり「あの子はやる気がない」と陰口を叩いたりして他のスタッフとの間に隔たりを作られたり、分からないことがあってもこちらが困っていても助言もなく先に帰ってしまったりして、制度の有効どころか足を引っ張られる羽目になります。
私のプリセプターも大変な人で(笑)、きっと私みたいなずうずうしい人間でないと乗り切れなかったと思う。当時はナースステーションで泣きながら残業して記録を書いていたら、医師に「大変だけどみんな新人だったことがあるんだからがんばってほしい」と慰めてもらいお菓子をもらったことがありました。今では笑い話ですが、当時はノイローゼになりかけて、毎晩寝る前には1時間ぐらい「どうやってプリセプターを殺すか」と考えていましたもん。
だからこの事件の看護師も、きっとそんなふうに先輩が怖くて、「患者さんの命よりも先輩に今怒られたくない」と言う心境になってしまったんだろうと思う。気持ちはわかるが、それは絶対やっちゃいけないことなんで、こういう事件が起こってしまったのは残念です。

でもねー、本当に気持ちは良くわかる。今では笑いながらプリセプターと一緒に仕事をしているけど、時々ふと「どっかですごーく無残な死に方しないかなーこいつ」と思う一瞬があります(笑)。